黒神埋没鳥居(腹五社神社) - 桜島の噴火の凄まじさを後世に伝える
桜島港から垂水方面へ車で30分ほど行ったところにある『黒神埋没鳥居』。
大正3年に起きた桜島の大噴火(大正大噴火)の噴石と火山灰に埋もれた鳥居が当時のままの姿で置かれています。噴火の脅威を後世に伝えるために、あえて掘り起こさなかったようです。そして昭和38年に、県の文化財に指定されました。
猛威を語りつぐ鳥居
大正大噴火の前兆は、すでに3日前から始まっていました。島内いたるところで井戸が沸騰し、海岸には大量の死魚が浮き、自身が断続的に起きていたのです。
安永噴火の言い伝えから、大爆発の「前触れ」と感じた人も多く、村は騒然とした雰囲気に包まれていました。
1914年(大正3)1月12日、午前10時5分まず西桜島赤水上が黒煙を突き上げ、10分後には東桜島黒神の鍋山が大音響とともに爆発。黒煙は上空7000mに達し、全島を被いつくしました。間断なくとどろく爆発音と火山雷、降り注ぐ噴石の雨、更に翌13日には溶岩の流出が始まり、30億トンの日の波が瀬戸海峡を横断、桜島と大隅半島を陸続きにしてしまったのです。ここ黒神でも全戸687戸が火山灰に埋没しました。
高さ3mの腹五神社の鳥居は、笠木だけを残してかろうじて見えていましたが、時の村長 野添八百蔵は、爆発の猛威を後世に伝えるため発掘の中止を指示。そのままの形をとどめることになりました。
現在この鳥居は県の文化財に指定されています。
- 埋没鳥居案内板(鹿児島市)
また、鳥居の隣には資料館らしきものがあります。
ここにある資料は神社の隣にある中学校の生徒たちが調べて作ったんでしょうか。当時の黒神村の様子や歴史が細かく記されています。
ここも是非立ち寄っておきたいです。
埋没鳥居は有形文化財ではなく天然記念物
この埋没鳥居は鹿児島県の文化財に登録されていますが、そのカテゴリーが意外にも有形文化財ではなく天然記念物です。
天然記念物というと、希少な動植物や自然のものが対象となるイメージですが、その地理・歴史を伝える化石や地層なども対象となるそうです。埋没鳥居もその地域の歴史を伝える自然の一部とみなされたみたいですね。
腹五社神社社殿
奥には社殿があります。黒神埋没鳥居の名前の方が有名になってしまいましたが、実は腹五社神社という神社の境内の一角です。
鳥居が埋まるほどの噴火だったので、この社殿も後から建てられたものなのでしょう。
埋没鳥居を後世に残すため、訪れた際にはその維持費の少しでも足しになるように気持ちばかりお布施していくと良いですね。
おまけ - 珍しい標識
神社の前の標識にはあまり他では見られない埋没鳥居専用の標識が出ています。
鳥居の下半分が埋もれて隠れたデザインが面白いですね。
黒神埋没鳥居(腹五社神社)アクセス情報
所在地: 〒891-1401 鹿児島県鹿児島市黒神町647
駐車場: あり(無料)
入場料無料
投稿者プロフィール
- 神奈川から鹿児島に移住した当サイト管理人兼WEBデザイナー。カレーとラーメンと焼肉や珍しいご当地料理が好き。週末はイベントやお祭りに出向いたり、小学生の娘と一緒にポケモンをしながら街をブラブラ歩く。
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