薩摩 雅咲亭(がしょうてい)のうな玉丼の鰻はもちろん、お米だけでも食べる価値はある逸品

薩摩 雅咲亭

梅雨の真っ只中、湿気に包まれた街をさまよい歩く。そんな鬱々とした日々に、どうにかして心を晴らす方法はないかと考えていると、不意に思い出したのが天文館公園すぐ近くの「薩摩 雅咲亭(がしょうてい)」。あの店のうな玉丼が頭に浮かび、気づけば足は自然とその方向へ向かっていた。

到着すると店の前で「うなぎ」の文字がすぐ目に飛び込んでくる。

店に入ると、湿気に疲れた身体が迎えられるように、和の風情漂う落ち着いた店内が広がっており、カウンター席に腰を下ろす。
一通りメニューを眺めるが、注文する品はもう最初から決まっている。

店員さんを呼ぶと、私は迷うことなく「うな玉丼」を注文した。

程なくして運ばれてきた丼は、香ばしい鰻の香りとふわりとした卵の香りが交じり合い、食欲をそそる。

はやる気持ちを抑えつつ、漬物と味噌汁で胃を慣らし、そしていよいよウナギに手を付ける。

うな玉丼(一尾)

まずは一口。鰻のタレが染み込んだご飯と、ふんわりと仕上がった玉子が絶妙に絡み合う。備長炭で焼いた鰻は肉厚で外はパリッとして香ばしく、中はふっくら。

玉子はふわふわとした食感で、鰻の濃厚さを程よく中和してくれる。タレの甘辛さが全体をまとめあげ、一口ごとに幸せが広がる。

特に、南部鉄器で炊き上げた特A米「あきほなみ」は、鰻の旨みをしっかりと吸収し、そのふっくらとした粒が口の中でほぐれるたびに、豊かな風味が広がる。鰻と玉子、そしてこのご飯の絶妙なハーモニーは、まさに至福のひとときだ。

蒲焼のタレが掛かったご飯が本体とも言われるくらい、うな重またはうな丼にとってお米は重要な要素。
鹿児島県内で鰻を扱うほとんどの店が鹿児島県産うなぎを使用しているため、鰻で差別化できない以上、お米で勝負しようとするのは自然な流れというべきか。

南部鉄器で炊き上げた粒の立ったご飯。これだけでも美味しい

この一杯が、鬱々とした梅雨の憂さを一掃してくれる。料理の美味しさだけでなく、静かな店内と丁寧な接客が相まって、心がほぐれていくのを感じた。店を出る頃には、夏の暑さも心地よく感じられる。

雅咲亭のうな玉丼、土用の丑の日はもちろん、天文館に訪れた際にはぜひ食べて欲しいほしい逸品だ。

後日、再訪問

後日、薩摩 雅咲亭の米を無性に食べたくなって、また訪れてみた。

今度はロースかつ定食1300円を注文する。鰻に比べるとずっとリーズナブルだ。

とんかつは分厚くボリューム感たっぷりだ。

とんかつも美味しい。しかし、

何かが足りない。

自慢の5つ星ご飯が生かしきれていない感じがする。

南部鉄器でふっくらと炊き上げた美味い米に対してトンカツでは正直、役不足感が否めない。

5つ星米に対抗できるのは、やはりこれしかない

とんかつを食べ終えた私は、追加注文すると同時にご飯のおかわりを店員にたのむ。

しばらくして運ばれてきたのは、

うな串。

これを熱々のご飯一緒に口へ運ぶ。

これだ。私が求めていたのは。

やはり、ここのご飯には脂が乗った鰻が一番よく合う。

薩摩 雅咲亭では、素直にうなぎを頼むのベストだということを再認識した。

そして、私は理解した。

鰻のためにご飯があるのではなく、ご飯を最も美味しく食べるために鰻があるんだと。

店舗情報

薩摩 雅咲亭

〒892-0845 鹿児島県鹿児島市樋之口町10-7

https://fbws800.gorp.jp/

投稿者プロフィール

たった
たった
神奈川から鹿児島に移住した当サイト管理人兼WEBデザイナー。カレーとラーメンと焼肉や珍しいご当地料理が好き。週末はイベントやお祭りに出向いたり、小学生の娘と一緒にポケモンをしながら街をブラブラ歩く。

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