「真珠の耳飾りの少女」を鑑賞しに大阪中之島美術館フェルメール展へ

大阪中之島美術館で開催された「フェルメール《真珠の耳飾りの少女》展」へ行ってきた。
17世紀オランダの画家フェルメールを代表する名画が14年ぶりに来日するという展覧会で、会期は2026年8月21日から9月27日まで。《真珠の耳飾りの少女》と《ディアナとニンフたち》の2点を含む、マウリッツハイス美術館所蔵の計12点が展示された。
有名な絵なので一度くらい本物を見てみたいとは思っていたが、まさか絵を見る前にこんなに長い戦いが待っているとは思わなかった。
午前11時に並び始めて、買えたのは午前2時
最初にチケットを買おうとしたときのこと。販売開始は午前11時だったが、購入サイトに入るとすでに4万人待ちという表示が出ていた。
4万人・・・。
美術館のチケットを買いたいだけなのだが、いつの間にか大型音楽フェスにでも参加することになったのだろうか。もちろん待っているのはネット上の列なので足は疲れないが、順番が気になって落ち着かない。
結局チケットを購入できたのは日付が変わって午前2時くらい。午前11時から数えると約15時間である。フェルメールの絵を何分見るかはまだ分からないが、チケットを買うために使った時間だけは妙に充実している。
今回の展覧会は人気漫画『葬送のフリーレン』とのコラボもあり、それが人気に拍車をかけたところもあるのかもしれない。実際うちの娘もコラボをきっかけに興味を持ち「行ってみたい」と言い出したクチである。
漫画から美術に興味が広がるのはいいことだ。ただし、その間をつなぐ父親は深夜までチケットサイトを見つめることになったのだ。
口コミを読んで覚悟していたが、会期後半はどうなのか
私たちが訪れたのは9月下旬。会期も終わりに近づいた頃である。
事前にネットで見かけた8月来場者の口コミには、暑い中で屋外に並んだとか、指定時間を30分以上過ぎても入れなかったとか、肝心の絵は一瞬しか見られなかったとか、なかなか厳しい話が並んでいた。
さらにグッズショップでも1時間以上待ち、欲しい商品はすでに完売していたという声まである。チケットを取っただけで十分頑張ったつもりだったが、現地でもまだ頑張らなくてはいけないらしい。
会期後半には運営も改善されたという話を見かけたものの、実際に行ってみるまでは分からない。そんなわけで17時30分入場のチケットに対し、15時40分過ぎには美術館に到着してしまった。
さすがに早い。心配性にもほどがある。
館内ではすでに16時30分入場分の待機列の準備が進んでおり、列は屋内をぐるぐると折り返すように作られていた。少なくともこの日の様子を見る限り、炎天下の屋外で延々待つことにはならなさそうで少し安心した。
フリーレンを見て、青いドリンクを飲みながら待つ
まだ入場まで時間があるので、先に下の階に展示されていた『葬送のフリーレン』のコラボ絵画を見に行く。
《真珠の耳飾りの少女》を思わせる姿のフリーレンが、額縁の中からこちらを振り返っている。青いターバンもよく似合っているが、やはりあの長い耳の存在感がすごい。
こちらの展示はチケットがなくても見ることができ、写真撮影も可能だった。娘が興味を持ったきっかけの絵を、本物のフェルメールより先に鑑賞することになる。
その後は一度美術館を出て、すぐ隣の中之島クロスにあるカフェへ向かった。
ここでは期間限定で《真珠の耳飾りの少女》をイメージしたドリンク『ブルーパール』が飲めるというので、チーズケーキとセットで注文。鮮やかな青に白いクリームが重なった見た目は、なるほどあの絵を思い出させる。
絵を見る前からフリーレンを眺め、絵をイメージしたドリンクを飲んでいる。まだ本物に会っていないのに、すでにかなりフェルメールを楽しんでいる気がする。
早く着きすぎたおかげで、こうしてゆっくりお茶を飲む時間はできた。
17時30分の回だったが、17時20分には入場できた
時間が近づいたので美術館へ戻ると、16時50分頃から私たちの回の待機列が作られ始めた。
並んで待っていると17時10分頃には列が動き出し、エスカレーターで5階へ。17時20分頃には展示室に入ることができたので、心配していたよりずっとスムーズだった。
当初の口コミを読んで覚悟していた身としては少し拍子抜けするくらいである。もちろん日や時間帯によって違うのだろうが、少なくとも私たちが訪れた回では大きな混乱はなかった。
この日は指定時刻の40分ほど前に列ができたが、それが毎回の決まりというわけではないだろう。15時40分からずっと並んで待つ必要はなかった、ということだけは確かである。
フェルメール展という名前から、入った瞬間から名画が次々に並んでいる様子を想像するかもしれないが、前半では17世紀オランダ絵画や画家たちについての紹介があり、後半でフェルメールの作品へと進んでいく構成になっていた。
もともとフェルメールは寡作の画家で、現存する作品も30数点ほどしか知られていない。今回展示されているフェルメール作品は2点なので、その2点へ向けて少しずつ気持ちを高めながら進んでいく感じだ。
《真珠の耳飾りの少女》の前には《ディアナとニンフたち》も鑑賞した。
こちらは複数の人物を描いた作品で、いつも見慣れた少女の絵とは雰囲気がかなり違う。同じ画家でもこういう絵を描いていたのかと、詳しくないなりに見比べるのが面白い。
「真珠の耳飾りの少女」は2列目から眺める
そして展示室の最奥に、今回のお目当てである《真珠の耳飾りの少女》が待っていた。
壁一面が青で統一された空間の中に、あの見慣れた少女の絵がある。ポスターやグッズでは何度も見ているのに、それが本物だと思うとやはり足を止めたくなる。
絵の前には長い列ができていたが、立ち止まったまま動かないわけではなく、常に人が流れているので思っていたより早く順番が回ってきた。
鑑賞する列は絵の前で2列に分かれる。最前列はすぐ近くで見られる代わりに、立ち止まらず進まなくてはならない。一方で2列目は少し絵から離れるものの、比較的時間を取って眺めることができた。
自分はせっかくならじっくり見たかったので2列目を選んだ。至近距離で見られるのも魅力的だが、歩きながら「本物だ」と確認して通り過ぎるだけでは少し惜しい。
少し離れたところから、少女の顔や青いターバン、耳元の真珠を眺める。
普段なら美術の教科書や画面の中にいる人が、今は目の前にいる。当たり前といえば当たり前なのだが、その距離の違いを感じるために美術館へ来るのかもしれない。
約15時間かけてチケットを買ったことを思うとつい長く見ていたくなるが、絵の方はそんな事情など知らない顔でこちらを振り返っている。
グッズショップでも戦うつもりが、普通に買えた
鑑賞を終えたら次はグッズショップである。
事前の口コミではここも難所だったので身構えていたが、特に行列らしい行列はなくスムーズに買い物ができた。一時は完売していたというミッフィーグッズやサクマドロップも買えて満足である。
真珠の耳飾りの少女をイメージしたミッフィーは、青いターバンに黄色い服という組み合わせがよく似合っている。さっきまで本物の名画を真剣に見ていたはずなのに、こういうものが目に入るとすぐ欲しくなってしまう。
また、マスコットよりひと回り大きいミッフィーのぬいぐるみは受注販売となっており、そちらも注文していた。届くのは来年の2月らしい。楽しみに待つとしよう。
名画を見たあとは串カツ、帰宅後は名画に見られる
美術館を出たあとはホテルへ戻る途中で通天閣の近くに立ち寄り、串カツを食べて帰った。
さっきまで17世紀オランダ絵画の世界にいたのに、今は大阪で串カツを食べている。この切り替わりの早さも旅行の楽しさだろう。目の前の名画をじっくり眺める時間もいいが、揚がった串カツは冷める前に食べたい。



チケット争奪戦から始まり、混雑の口コミにおびえながら向かった今回のフェルメール展だったが、実際には入場も買い物も思っていた以上にスムーズで、2列目から絵を眺める時間も取れた。
娘がフリーレンをきっかけに行きたがらなければ、深夜2時まで粘ってチケットを取ることもなかったかもしれない。そう考えると、あの長い待ち時間も含めていい思い出ではないだろうか。
帰宅後は買ってきたフェルメールグッズをデスクに飾ってみた。
図録にも小物にも《真珠の耳飾りの少女》がいるので、どこを見てもこちらを振り返る少女と目が合う。美術館では少しでも長く見ていたかったのに、家ではこっちが見つめられている感がすごい。
仕事をしていても視線を感じる。少し休憩しようとしても視線を感じる。
あれほど苦労して会いに行った少女が、今は毎日こちらを見ている。どうやら鑑賞する側とされる側が逆になってしまったようだ。
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神奈川から鹿児島に移住した当サイト管理人兼WEBデザイナー。カレーとラーメンと焼肉や珍しいご当地料理が好き。週末はイベントやお祭りに出向いたり、小学生の娘と一緒にポケモンをしながら街をブラブラ歩く。最近はドラクエウォークもやってます。
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